2017年09月09日

競売・任意売却の対象にならないためには

毎月送られてくる競売情報誌を眺めていると、競売までに至った原因(収入減など)はわかりませんが、一般的な住宅が多く見受けられ、そのほとんどが住宅ローンの支払いが不能になってというものです。

一般的な不動産の流通市場では「任意売却物件」も増えてきており、これは競売以上に住宅ローンの支払い不能が理由となっております。

住宅ローンの支払いができなくなるのは、第一に本人の責任も大きいですが、不動産の状況や住宅ローンの仕組みそのものにも問題があると思います。(だからと言って、返済ができない理由にはなりませんが)

シンプルな話として、家を売って返済できれば、毎月の返済ができなくなっても救われます。

買うにも売るにも諸経費がかかりますので、このくらいの資金力がなければ買ってはいけないのでしょうが、そこさえ担保できれば、いざとなったら売ればいい、という状況になっていればいい。

そのために考えておくことは次の通り。

1)不動産価格が横ばい、もしくは、返済が進む程度と同じ程度の下落幅で維持されていく。

かつての高度成長期やバブル期のように、経済要因で価値が維持されるのであれば何も考えなくていいのですが、相変わらずの下落傾向と今後も下落要因が多いことから、購入する時から、価値が下がりづらい不動産を買うこと。

このためには、土地については需要が維持される利便性が高い地域にすること、建物については経年劣化による価値の下落額を小さくするためそもそもの購入額を小さくしておく(新築よりは中古、ある程度落ち切りながらも残存期間が残る中古がベスト)。

2)住宅ローンの返済が滞ったら、不動産を売る(手放す)ことで返済が完了する仕組みの住宅ローンにする。

海外で一般的なノンリコースローンタイプの住宅ローンに仕組みが変わってくれれば、購入側では特に考えなくてもいいのですが、日本の住宅ローンは不動産の下落リスクは所有者が背負うことになるため、自身で考える必要があります。

売れれば返済が完了するようにするためには、住宅ローンの借りる金額を小さくしておくことで、不動産の価値が残高を常に上回るようにしておく、そのために自己資金を準備する。

もしくは、どんなに苦しくなっても負担できるくらいの返済負担としておく、このためにも自己資金を準備する。自己資金が厳しい場合は、借入金額を少なくしておくことです。

この1と2を考えると、土地を買って新築注文住宅を建てる、というのは、かなり余裕がある富裕層(高所得が長期に渡り続く所得者)が対象となります。(新築マンションは利便性はクリアも建物の割合が高く、やはり富裕層向け)

利便性が高い地域で土地を買い、経年劣化により価値が減少する建物にお金を投下し、住宅ローンの返済が安全帯に入るほどの自己資金と収入があるということですので。

逆に言えば、土地を買って注文住宅を建てられるというのは、それなりの所得層であるという証しかもしれません。

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2017年08月28日

タワマン暴落から始まる下落連鎖

前々から言われていて目新しい話題ではありませんが、週刊現代にタワーマンションの暴落に関する特集記事が掲載されましたので、ご紹介させていただきます。

見出しは「全国民必読 中国人「タワマン爆売り」で不動産大暴落が始まる。湾岸エリアはすでに大異変。豊洲のタワマンからは1棟で20件近い大量の売り物件が・・・。デベロッパーは赤字転落、RIET(不動産投資信託)市場も崩壊、いますぐ逃げないともう間に合わない」と衝撃的な書き方は週刊誌だからでしょうか。

記事の冒頭では「被害者は湾岸タワマン生活を謳歌する住民だけではない。2020年の東京五輪を前に始まったマネーの大脱走は序章。湾岸発の不動産パニック劇は間もなく、日本列島全体に悲鳴を響かせる」と記事への関心を引き寄せます。

個人的な感覚では、都心部を中心とした好調さに翳りが出るのはあるとしても、日本列島全体がパニックということはないと思います。都心部以外では、不動産価格は以前より下落傾向であり、下がる余地も少なく、下がることに心理的な衝撃はないからです。

記事の概要は次の通りです。

・スペックとして問題ない(というか素晴らしい)住戸でも、売り出してから半年以上経っても一向に買い手がつく気配がない。それはこのマンションは中国人が多く所有し、その中国人が売りに転じているからである。

・中国人の爆買いはすでに終わり、将来性のない日本よりも値上がりが見込めるアジア諸国へとシフトしている。今後、税制などのタイミングにより売り出し物件は急増し、タワマンの市場は崩壊する。

・恐ろしいのは、一度値崩れが始まると、それが大きなうねりとなって売りの連鎖につながっていくこと。中古が下がれば新築も下がり、都心が下がれば郊外も下がる。

・これからは逃げ遅れた被害者が続出していくことになり、まっさきにやられるのが不動産投資をしている人たち。そして、不動産下落の渦は一般市場へと波及し、銀行などの金融機関は不良債権が増加し経営悪化、日本経済全体が低迷することになる。

以上。

タワマンを買える人は、それなりの収入があるから、売る必要性さえなければ生活は維持していけると思います。ただし、その収入が下がったときには、売れない、返せないという悪循環に陥って、最悪のケースも。

郊外で一般的な住まいを購入する方でも、収入が下がっても、不動産価格が下がっても、支障が出ないくらい相対的な負担が小さい物件を購入すべきです。

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2017年08月27日

相続税・贈与税の基本

民法で財産を承継できる人を定めており、これを法定相続人と言いますが、遺言や遺産分割協議などがある場合はそれが優先されるため、実際の相続人と必ずしも一致するものではありません。法定相続人は、配偶者、子供、父母、兄弟姉妹が範囲となり、代襲相続も定められます。

遺産分割は遺言や協議が優先されますが、分配の目安として民法で法定相続分(分配割合)が定められております。(宅建業法の報酬上限と同じく定めはあるものの法律で強制して決められているものではありません。)

被相続人の意思に即した遺産分割や、争いを避けるために、遺言書を活用するケースがあります。遺言書には一定の書式や決まりなどがあるため、遺言書とあっても無効になることもあります。

遺言書により被相続人の意思で遺産を分割する場合でも、配偶者や子供、父母には遺留分として一定割合の財産を相続する権利が認められております。

遺産を相続した場合、基礎控除額を超えると相続税が課税されます。基礎控除額は近年改正され、3000万円の定額控除分に相続人の数(1人あたり600万円)を加えた金額となります。遺産額を計算するにあたり、借金や葬儀費用は差し引かれます。また、仏壇やお墓などは非課税財産とされ除外されます。

相続税の計算は独特の順番で行われます。まず、遺産額から基礎控除額を差し引いて課税遺産額を計算します。ここでマイナスになれば非課税です。その後、法定相続したと仮定して各人の遺産取得額を計算し、その金額に対しての相続税を計算した後に合算して相続税の総額を計算します。その総額を実際に取得した割合で各自の納付税額を計算します。

配偶者には特別な考慮がされており、配偶者の法定相続分、または、1億6000万円のどちらか多い方までは非課税とされております。生命保険金や死亡退職金などにも独自の非課税枠があります。

相続税の申告は、被相続人の死亡後10ヶ月以内に被相続人の住所地に行います。相続税の納付も10ヶ月以内です。一定の要件を満たせば、延納や物納が認められることもあります。

相続税は死亡時に財産が移転されて課税されるものですが、生前に財産が移転される場合は贈与税となります。このことから贈与税は相続税の補完的な意味合いがあるとことになります。

贈与税の場合も基礎控除額1年110万円があります。同じ年であれば110万円までは非課税となります。あえて110万円を超える贈与を行い、贈与税を支払うことで贈与の証拠を残すなどという方策もあります。

贈与税の場合、住宅用の資金や教育資金、結婚・子育て資金の場合、一定の要件の下に非課税措置が設けられております。

また、死亡したときまで贈与税の課税を繰り下げる相続時精算課税制度もあります。これは贈与税を相続税での支払いに切り替えるもので、このため年毎の贈与税基礎控除はなくなります。この適用を受けるためには一定の要件があります。

贈与税には婚姻期間20年以上の配偶者に居住用不動産(もしくは購入資金)を贈与した場合に適用される配偶者の特別控除という制度があります。

相続税、贈与税の対象財産を評価するに際して、預貯金などの金融資産は分かりやすいですが、不動産に関しては計算方法が決められております。土地に関しては国税庁の路線価を基に算出され、建物に関しては市町村の固定資産税評価額で計算されます。

貸家や貸地、宅地などに関しては評価の減額などの特例があります。路線価や固定資産税評価額が時価よりも低いことやこれらの特例があることから、相続税節税のために不動産が活用されることが多くなります。

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人口減少時代の土地問題

「人口減少時代の土地問題(吉原祥子著、中公新書)」日本の私有地の約20%で、所有者がわからない――。持ち主の居所や生死が判明しない土地の「所有者不明化」。この問題が農村から都市に広がっている。空き家、耕作放棄地問題の本質であり、人口増前提だった日本の土地制度の矛盾の露呈だ。過疎化、面倒な手続き、地価の下落による相続放棄、国・自治体の受け取り拒否などで急増している。本書はその実情から、相続・登記など問題の根源、行政の解決断念の実態までを描く。(中公新書HPより)

「約2割の土地で所有者が誰なのかわからなくなっており、その面積を合算すると九州の面積を超えている」という帯の通り、「所有者不明の土地問題」をテーマとしたものです。

所有者不明の土地が増加している直接的な要因は人口減少と高齢化ですが、地価下落や社会構造の変化で土地を保有する利点が薄れ、土地に対しての関心が小さくなり、さらに、手間や費用などからなかったことにしたいという心理なども相まって、相続登記が行われないことが問題を深刻にしています。

一般に土地や不動産を売買や相続・贈与などで取得すると、所有権移転の登記をするが、この登記は第三者へ対抗する(財産を守るため)の権利であって義務ではない。不動産に価値がなかったり、担保などに供しないのであれば、登記をしなくても実害はほとんどない。

価値がなければ守る必要もないし、そのために費用を負担するのは敬遠したいし、深層では、負担しかないのであれば、登記をしないことで誰かに移転していればなどという夢さえ思い描くこともあるのではないか。

不動産の売買の場合、特に、土地や戸建ての場合、不動産の位置を特定するために「公図」という資料を利用します。この公図ですが、近年に区割りされた土地などであれば、ある程度、位置や形などの確認が取れますが、昭和期の公図ですと、すっちゃかめっちゃかでなにがなんだか分からないというものも多く残ります。

公図とは「登記所には、土地の区画(筆界)を明確にするための資料として地図が備え付けられることになっています。公図は、地図が備え付けられるまでの間、「地図に準ずる図面」として地図に代わって備え付けられている図面で、土地の大まかな位置や形状を表すものです。公図の多くは、明治時代の地租改正に伴い作成されたもので、現況と大きく異なる場合があります。」(国土交通省説明)

これをきちんとしなくてはならないと「地籍調査」というものが実施されておりますが、この進捗状況は、全国で52%(2017年4月)、千葉県では15%しか実施されておりません。(松戸市は区画整理が多いのである程度判明も未実施、柏市では北部で実施済みもほとんど未実施)。これを外国と比較してみると、フランスやドイツ、韓国、台湾はすべて終了しています。

地籍調査状況マップ http://www.chiseki.go.jp/map/index.php

ドイツでは売買契約後に登記をしないと土地の所有権の移転が成立しないとしている。いろいろと難しい状況もあるかと思われますが、地籍調査を進めるとともに、登記に一定の義務を与えることで、所有者不明の土地や空き家の増加問題にも効果があります。

もし、このまま所有者不明の土地、空き家問題を放置するとどんどん荒廃し、日本の国家そのものを揺るがしかねない。実際に、災害後の復興や社会インフラ整備などの際に所有者不明の土地があるため事業が進まない、マンションの管理や建て替えなどの際に所有者が不明の住戸がありなにも手を出せない、そして、地域も不動産も荒廃していく。

今回の所有者不明の土地、空き家の増加から都市計画、新築偏重の住宅市場、未整備の流通制度など、不動産や住宅に関して、ほとんどの部分で日本はあまりにも後進すぎる国です。

財産権などの難しい部分もあるかと思いますが、所有者不明の土地や空き家については、所有権移転(相続発生)後に登記を一定期間行われなければ権利を放棄したとみなす(時効制度の逆)としてもいいのではと考えます。

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2017年07月17日

相続税対策から貸家が増えても

地価には実勢価格(時価)の他、公示地価、基準地価、固定資産税評価額など目的により複数の地価が存在するという不思議なことがありますが、そのうちの一つである路線価が国税庁より発表されました。

2017年は全国の標準宅地で前年比プラス、2年連続の上昇と発表されていますが、その一方で地方など下落している地点も多く、二極化傾向であることがわかります。(もう使い古されたくらいに出てくる言葉の二極化です)

そもそもこの路線価とはどんなものなのでしょうか。国税庁から発表されていることでもわかる通り、土地の相続税や贈与税の計算のために用いられるものです。全国の道路に付けられた価額であることから路線価と呼ばれ、公示価格の約8割とされています。

もし自宅が面する道路に「200」の表示があれば路線価は20万円(1平米)ということで、自宅の土地が100平方メートルなら評価額は2000万円と計算されます。

この相続税について、近年、大きな改正が行われ、大きな影響が出ました。改正内容は基礎控除額の変更で、相続人が三人の場合、改正前は基礎控除8000万円だったところが、改正後は4800万円となりました。相続財産が8000万円以下なら相続税の課税はなかったところが、基礎控除を除いた3200万円に対して課税されるようになったのです。

この改正で火がついたのが「相続税対策」です。そのうち、不動産分野で目立ったのが「貸家(アパート)建設」と「タワーマンション購入」です。

相続税節税のからくりアパート編:土地に貸家を建て付けることにより評価が下がる、さらに借入金を利用すればその分だけ相続財産から控除される。

相続税節税のからくりタワーマンション編:現金を不動産に変えることにより評価が下がる、借入金を利用する場合はアパートと同じ、さらに、マンションの場合、所在階が評価に反映されず時価と評価額の差額が大きく節税効果が高まる。(税法の改正により効果は減少しました)

さらに、この相続税対策を後押ししたのが、現在の低金利です。アパート建築、マンションの購入に伴う費用を低負担で調達できることにより拍車がかかりました。

この結果、必要以上の住宅が供給された結果、都心部でも空き家率30%超などという異常な状況にまで至ることとなりました。

しかし、空き家率の上昇、供給の増加は、不動産市場としては好ましくないかもしれませんが、借り手市場になるということから、賃借人はハイスペックな住まいを割安な賃料で借りることができるという良い面も生まれます。

なお、貸家が増えても、ファミリー層の物件は比例して増えていません。これは家主からみた投資効率や販売から考えた業績面への貢献など、供給サイドの思惑によるものです。さらに、郊外を中心に持ち家が安く提供されていることから、ファミリー層に関しては持ち家が中心になっています。

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