2017年08月27日

相続税・贈与税の基本

民法で財産を承継できる人を定めており、これを法定相続人と言いますが、遺言や遺産分割協議などがある場合はそれが優先されるため、実際の相続人と必ずしも一致するものではありません。法定相続人は、配偶者、子供、父母、兄弟姉妹が範囲となり、代襲相続も定められます。

遺産分割は遺言や協議が優先されますが、分配の目安として民法で法定相続分(分配割合)が定められております。(宅建業法の報酬上限と同じく定めはあるものの法律で強制して決められているものではありません。)

被相続人の意思に即した遺産分割や、争いを避けるために、遺言書を活用するケースがあります。遺言書には一定の書式や決まりなどがあるため、遺言書とあっても無効になることもあります。

遺言書により被相続人の意思で遺産を分割する場合でも、配偶者や子供、父母には遺留分として一定割合の財産を相続する権利が認められております。

遺産を相続した場合、基礎控除額を超えると相続税が課税されます。基礎控除額は近年改正され、3000万円の定額控除分に相続人の数(1人あたり600万円)を加えた金額となります。遺産額を計算するにあたり、借金や葬儀費用は差し引かれます。また、仏壇やお墓などは非課税財産とされ除外されます。

相続税の計算は独特の順番で行われます。まず、遺産額から基礎控除額を差し引いて課税遺産額を計算します。ここでマイナスになれば非課税です。その後、法定相続したと仮定して各人の遺産取得額を計算し、その金額に対しての相続税を計算した後に合算して相続税の総額を計算します。その総額を実際に取得した割合で各自の納付税額を計算します。

配偶者には特別な考慮がされており、配偶者の法定相続分、または、1億6000万円のどちらか多い方までは非課税とされております。生命保険金や死亡退職金などにも独自の非課税枠があります。

相続税の申告は、被相続人の死亡後10ヶ月以内に被相続人の住所地に行います。相続税の納付も10ヶ月以内です。一定の要件を満たせば、延納や物納が認められることもあります。

相続税は死亡時に財産が移転されて課税されるものですが、生前に財産が移転される場合は贈与税となります。このことから贈与税は相続税の補完的な意味合いがあるとことになります。

贈与税の場合も基礎控除額1年110万円があります。同じ年であれば110万円までは非課税となります。あえて110万円を超える贈与を行い、贈与税を支払うことで贈与の証拠を残すなどという方策もあります。

贈与税の場合、住宅用の資金や教育資金、結婚・子育て資金の場合、一定の要件の下に非課税措置が設けられております。

また、死亡したときまで贈与税の課税を繰り下げる相続時精算課税制度もあります。これは贈与税を相続税での支払いに切り替えるもので、このため年毎の贈与税基礎控除はなくなります。この適用を受けるためには一定の要件があります。

贈与税には婚姻期間20年以上の配偶者に居住用不動産(もしくは購入資金)を贈与した場合に適用される配偶者の特別控除という制度があります。

相続税、贈与税の対象財産を評価するに際して、預貯金などの金融資産は分かりやすいですが、不動産に関しては計算方法が決められております。土地に関しては国税庁の路線価を基に算出され、建物に関しては市町村の固定資産税評価額で計算されます。

貸家や貸地、宅地などに関しては評価の減額などの特例があります。路線価や固定資産税評価額が時価よりも低いことやこれらの特例があることから、相続税節税のために不動産が活用されることが多くなります。

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人口減少時代の土地問題

「人口減少時代の土地問題(吉原祥子著、中公新書)」日本の私有地の約20%で、所有者がわからない――。持ち主の居所や生死が判明しない土地の「所有者不明化」。この問題が農村から都市に広がっている。空き家、耕作放棄地問題の本質であり、人口増前提だった日本の土地制度の矛盾の露呈だ。過疎化、面倒な手続き、地価の下落による相続放棄、国・自治体の受け取り拒否などで急増している。本書はその実情から、相続・登記など問題の根源、行政の解決断念の実態までを描く。(中公新書HPより)

「約2割の土地で所有者が誰なのかわからなくなっており、その面積を合算すると九州の面積を超えている」という帯の通り、「所有者不明の土地問題」をテーマとしたものです。

所有者不明の土地が増加している直接的な要因は人口減少と高齢化ですが、地価下落や社会構造の変化で土地を保有する利点が薄れ、土地に対しての関心が小さくなり、さらに、手間や費用などからなかったことにしたいという心理なども相まって、相続登記が行われないことが問題を深刻にしています。

一般に土地や不動産を売買や相続・贈与などで取得すると、所有権移転の登記をするが、この登記は第三者へ対抗する(財産を守るため)の権利であって義務ではない。不動産に価値がなかったり、担保などに供しないのであれば、登記をしなくても実害はほとんどない。

価値がなければ守る必要もないし、そのために費用を負担するのは敬遠したいし、深層では、負担しかないのであれば、登記をしないことで誰かに移転していればなどという夢さえ思い描くこともあるのではないか。

不動産の売買の場合、特に、土地や戸建ての場合、不動産の位置を特定するために「公図」という資料を利用します。この公図ですが、近年に区割りされた土地などであれば、ある程度、位置や形などの確認が取れますが、昭和期の公図ですと、すっちゃかめっちゃかでなにがなんだか分からないというものも多く残ります。

公図とは「登記所には、土地の区画(筆界)を明確にするための資料として地図が備え付けられることになっています。公図は、地図が備え付けられるまでの間、「地図に準ずる図面」として地図に代わって備え付けられている図面で、土地の大まかな位置や形状を表すものです。公図の多くは、明治時代の地租改正に伴い作成されたもので、現況と大きく異なる場合があります。」(国土交通省説明)

これをきちんとしなくてはならないと「地籍調査」というものが実施されておりますが、この進捗状況は、全国で52%(2017年4月)、千葉県では15%しか実施されておりません。(松戸市は区画整理が多いのである程度判明も未実施、柏市では北部で実施済みもほとんど未実施)。これを外国と比較してみると、フランスやドイツ、韓国、台湾はすべて終了しています。

地籍調査状況マップ http://www.chiseki.go.jp/map/index.php

ドイツでは売買契約後に登記をしないと土地の所有権の移転が成立しないとしている。いろいろと難しい状況もあるかと思われますが、地籍調査を進めるとともに、登記に一定の義務を与えることで、所有者不明の土地や空き家の増加問題にも効果があります。

もし、このまま所有者不明の土地、空き家問題を放置するとどんどん荒廃し、日本の国家そのものを揺るがしかねない。実際に、災害後の復興や社会インフラ整備などの際に所有者不明の土地があるため事業が進まない、マンションの管理や建て替えなどの際に所有者が不明の住戸がありなにも手を出せない、そして、地域も不動産も荒廃していく。

今回の所有者不明の土地、空き家の増加から都市計画、新築偏重の住宅市場、未整備の流通制度など、不動産や住宅に関して、ほとんどの部分で日本はあまりにも後進すぎる国です。

財産権などの難しい部分もあるかと思いますが、所有者不明の土地や空き家については、所有権移転(相続発生)後に登記を一定期間行われなければ権利を放棄したとみなす(時効制度の逆)としてもいいのではと考えます。

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2017年07月17日

相続税対策から貸家が増えても

地価には実勢価格(時価)の他、公示地価、基準地価、固定資産税評価額など目的により複数の地価が存在するという不思議なことがありますが、そのうちの一つである路線価が国税庁より発表されました。

2017年は全国の標準宅地で前年比プラス、2年連続の上昇と発表されていますが、その一方で地方など下落している地点も多く、二極化傾向であることがわかります。(もう使い古されたくらいに出てくる言葉の二極化です)

そもそもこの路線価とはどんなものなのでしょうか。国税庁から発表されていることでもわかる通り、土地の相続税や贈与税の計算のために用いられるものです。全国の道路に付けられた価額であることから路線価と呼ばれ、公示価格の約8割とされています。

もし自宅が面する道路に「200」の表示があれば路線価は20万円(1平米)ということで、自宅の土地が100平方メートルなら評価額は2000万円と計算されます。

この相続税について、近年、大きな改正が行われ、大きな影響が出ました。改正内容は基礎控除額の変更で、相続人が三人の場合、改正前は基礎控除8000万円だったところが、改正後は4800万円となりました。相続財産が8000万円以下なら相続税の課税はなかったところが、基礎控除を除いた3200万円に対して課税されるようになったのです。

この改正で火がついたのが「相続税対策」です。そのうち、不動産分野で目立ったのが「貸家(アパート)建設」と「タワーマンション購入」です。

相続税節税のからくりアパート編:土地に貸家を建て付けることにより評価が下がる、さらに借入金を利用すればその分だけ相続財産から控除される。

相続税節税のからくりタワーマンション編:現金を不動産に変えることにより評価が下がる、借入金を利用する場合はアパートと同じ、さらに、マンションの場合、所在階が評価に反映されず時価と評価額の差額が大きく節税効果が高まる。(税法の改正により効果は減少しました)

さらに、この相続税対策を後押ししたのが、現在の低金利です。アパート建築、マンションの購入に伴う費用を低負担で調達できることにより拍車がかかりました。

この結果、必要以上の住宅が供給された結果、都心部でも空き家率30%超などという異常な状況にまで至ることとなりました。

しかし、空き家率の上昇、供給の増加は、不動産市場としては好ましくないかもしれませんが、借り手市場になるということから、賃借人はハイスペックな住まいを割安な賃料で借りることができるという良い面も生まれます。

なお、貸家が増えても、ファミリー層の物件は比例して増えていません。これは家主からみた投資効率や販売から考えた業績面への貢献など、供給サイドの思惑によるものです。さらに、郊外を中心に持ち家が安く提供されていることから、ファミリー層に関しては持ち家が中心になっています。

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限界マンションの予兆が見えたらお住み替えを

歴史上、世界のどの国も体験したことがない未曾有の人口減少時代に突入した日本。約50年後には、4600万人もの人口が減る厳しい未来が待っている。『縮小ニッポンの衝撃』

本書では「財政破綻」「超高齢化」「人口減少」という三重苦を抱えた夕張市の状況が紹介されておりますが、「管理組合の収支破綻」「住民の超高齢化」「居住者の減少・空き家の増加」と同じような問題が、今後のマンションで多く発生すると危惧されております。

これを『限界マンション』として、NHKのニュース番組で紹介されておりました。この中で富士通総研の米山秀隆さんが次のように解説しております。http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/05/0513.html

「築40年を超えるマンションは、2035年には、2015年の6倍ということで、急増することが予測されています。建物の老朽化が進むことはもちろんなんですけれども、居住者、例えば30歳、40歳で購入したとすると、70歳から80歳ですので、建物と居住者の2つの老いが進展すると。そういう状態になりますと、非常に状況が悪化しますので、それまでの段階で、中古としての競争力を保つために、維持・修繕をきちんとしていくということが重要になります。」

「ポイントは2つありまして、1つは、管理組合の意識です。購入当初では、まだ新しくて、維持・修繕の意識は低いんですけれども、必要な時に必要な修繕を行っていかないと、あとで大変なことになるという意識を高めていくということが、まず重要になります。2つ目は、資金計画ということになりまして、通常、当初の時点の計画では、修繕金の積み立て計画というのは低めに設定されることが多くて、20年、30年経って、段階的に引き上げられることが多いんですけれども、その段階ですと、例えば年金生活者、負担が多くて払えないということにもなりますので、できましたら、管理組合が合意の上で、当初からある程度、積み立てておいた方が、あとで楽になるということです。」

重要:新築分譲時は売りやすくするために修繕積立金を低く設定されている。これが後々大きく響いてくる。売った後に購入者・所有者が困ることになることを知りながら、このような姿勢で販売する分譲業者のモラルが低いことが問題である。

この他に、限界マンションへの予兆として、次のような問題が噴出してきます。

・理事長など管理組合の運営に携わる人が減少する

・管理費や修繕積立金の滞納が増加する(戸数、金額とも)、修繕金不足でメンテナンスなどができず老朽化が進む

・マンション住民間での格差や世代間の価値観や意識の違いなどからコミュニティが崩れる

・空き住戸が増えることにより活気がなくなる

・相続の発生などにより所有者が分からなくなる

・賃貸住戸の増加(所有者が賃貸に出す)により住民のモラルが低下する(民泊はさらに大変)

このような事態が複合的に絡み、限界マンションが増加することでしょう。単純にマンションがダメということではありませんが、限界マンションとなってしまうときまで所有していると大変な苦労と負担を背負うことになります。

先のような予兆が出始めたら、早めに売却して次の住まいへと移り変わることをお勧めします。そのためにも、売りやすいマンションにしておくことが大切になります。

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家は消費財・必要経費として考える

年々変わる政権のスローガン、1億総活躍の去年は「保育園落ちた、日本死ね」で待機児童問題が注目され、今年は働き方改革へとなって「プレミアムフライデー」が爆死するなか、共働き世帯が専業主婦世帯の倍近くなった状況が社会へ大きく影響しています。

子どもを育てながら働く女性にとって、時間をいかに稼ぐか有効に使うかが、生活をするにあたっての命題となります。

子育て環境を重視する住まいや環境として、郊外の戸建てが象徴的でしたが、現在の状況から、生活そのものが成り立たなくなってきつつあり、いかに勤務先を近づけるかということが住まいを選ぶ際の重要なことになります。

この結果、郊外の戸建てよりも都心部のマンション、狭くてもいいから古くてもいいからとにかく便利な場所、庭の手入れなど手間がかかる戸建てよりも、管理費等を支払っても管理会社が面倒をみてくれるマンションが好まれるようになりました。

郊外の住宅地、戸建てには、昭和の高度成長期に団塊世代の方が多く暮らしています。70歳前後の年代として、まだまだ元気で暮らしている方が多数を占めます。

それでも、年々、広すぎる(子供部屋は倉庫に)、古くなってきた(断熱性能が悪いため暑くて寒い)、階段を利用するのがつらい、庭の手入れは大変(夏の炎天下は生死にかかわる)などなど、暮らしていくのに不自由が生じて、住み替えていく人も多い。

さらに、相続(亡くなる)となっても子供世代は実家を利用することがなく、親世代が子供と同居して二世帯同居もしくは近隣居住となっても、子供が郊外の実家へ来るのではなく親が子供に近づく傾向から、手放すこととなることが増えている。

若い世代は郊外の戸建てを敬遠するため需要は減少、郊外の戸建ては売却が増加という需給関係となり、郊外の戸建ては価格が下落傾向になってしまっている。

高度成長期からバブル期頃までは、人口の自然増に加え、地方から都心部へ人口流入が進むなか、住宅・宅地がまだまだ足らなかったことから、当然のことのように不動産価格は上昇しました。

しかし、現在は、人口の自然減、郊外からの人口流出、新しい世代の人口流入減少という状況のなか、今までの住宅ストックは過剰となり(空き家増加)、さらに、マンション戸建てと新規供給が止まらない。過去の歴史や原理原則から考えて不動産価格が下落するのは自然なことです。

衣食住と言われるように、住宅は生きていくうえで必須の項目になりますが、このような状況を踏まえると、このくくりで言われるように生きていくうえでの消費・必要経費として考えていく必要があります。

不動産という場合は金融と同じように資産・負債の捉え方もあるのかもしれませんが、住宅とした場合は消費として考えていく方が間違いがない。考え方はクルマと同じでいいと思います。住宅もクルマの所有すれば、維持費用がけっこう重たいのも共通しています。

クルマを所有している方が有利なら購入すればいいし、所有するよりもレンタカーなどの都度利用の方が有利なら無理して購入する必要もない。住まいも購入した方が有利なら購入すればいいし、賃貸の方が有利なら無理して購入しなくてもいい。

もし購入する場合、クルマは年数が経過する、走行距離が伸びるごとに価値が下がるのと同じように、住まいも年数が経過する、利用が激しくなれば価値が下がるものだと考える。(メンテナンスにより価値の落ち方が変わるのも家とクルマは似ている)

ただし、クルマと家で決定的に違うことは処分のしやすさです。クルマの場合、最悪は廃車するという最終手段がありますが、家の場合、廃止する・放棄することは現時点ではできません。(戸建てなら土地に戻すという手もあるものの、マンションの場合、所有し続けなければならない)

このことから、家を購入する場合、住み替えなどで不要になった際に簡単に処分できる売りやすい物件にしておくことが肝になります。冒頭のように、利便性重視の流れにありますから、立地が大切ということになります。

なお、結果的に、価値があまり落ちずに資産のような感じになるかもしれませんが、あくまでも副産物であり、当初からそこを欲張ってしまわない方が良いと思います。

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