2017年07月17日

相続税対策から貸家が増えても

地価には実勢価格(時価)の他、公示地価、基準地価、固定資産税評価額など目的により複数の地価が存在するという不思議なことがありますが、そのうちの一つである路線価が国税庁より発表されました。

2017年は全国の標準宅地で前年比プラス、2年連続の上昇と発表されていますが、その一方で地方など下落している地点も多く、二極化傾向であることがわかります。(もう使い古されたくらいに出てくる言葉の二極化です)

そもそもこの路線価とはどんなものなのでしょうか。国税庁から発表されていることでもわかる通り、土地の相続税や贈与税の計算のために用いられるものです。全国の道路に付けられた価額であることから路線価と呼ばれ、公示価格の約8割とされています。

もし自宅が面する道路に「200」の表示があれば路線価は20万円(1平米)ということで、自宅の土地が100平方メートルなら評価額は2000万円と計算されます。

この相続税について、近年、大きな改正が行われ、大きな影響が出ました。改正内容は基礎控除額の変更で、相続人が三人の場合、改正前は基礎控除8000万円だったところが、改正後は4800万円となりました。相続財産が8000万円以下なら相続税の課税はなかったところが、基礎控除を除いた3200万円に対して課税されるようになったのです。

この改正で火がついたのが「相続税対策」です。そのうち、不動産分野で目立ったのが「貸家(アパート)建設」と「タワーマンション購入」です。

相続税節税のからくりアパート編:土地に貸家を建て付けることにより評価が下がる、さらに借入金を利用すればその分だけ相続財産から控除される。

相続税節税のからくりタワーマンション編:現金を不動産に変えることにより評価が下がる、借入金を利用する場合はアパートと同じ、さらに、マンションの場合、所在階が評価に反映されず時価と評価額の差額が大きく節税効果が高まる。(税法の改正により効果は減少しました)

さらに、この相続税対策を後押ししたのが、現在の低金利です。アパート建築、マンションの購入に伴う費用を低負担で調達できることにより拍車がかかりました。

この結果、必要以上の住宅が供給された結果、都心部でも空き家率30%超などという異常な状況にまで至ることとなりました。

しかし、空き家率の上昇、供給の増加は、不動産市場としては好ましくないかもしれませんが、借り手市場になるということから、賃借人はハイスペックな住まいを割安な賃料で借りることができるという良い面も生まれます。

なお、貸家が増えても、ファミリー層の物件は比例して増えていません。これは家主からみた投資効率や販売から考えた業績面への貢献など、供給サイドの思惑によるものです。さらに、郊外を中心に持ち家が安く提供されていることから、ファミリー層に関しては持ち家が中心になっています。

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限界マンションの予兆が見えたらお住み替えを

歴史上、世界のどの国も体験したことがない未曾有の人口減少時代に突入した日本。約50年後には、4600万人もの人口が減る厳しい未来が待っている。『縮小ニッポンの衝撃』

本書では「財政破綻」「超高齢化」「人口減少」という三重苦を抱えた夕張市の状況が紹介されておりますが、「管理組合の収支破綻」「住民の超高齢化」「居住者の減少・空き家の増加」と同じような問題が、今後のマンションで多く発生すると危惧されております。

これを『限界マンション』として、NHKのニュース番組で紹介されておりました。この中で富士通総研の米山秀隆さんが次のように解説しております。http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/05/0513.html

「築40年を超えるマンションは、2035年には、2015年の6倍ということで、急増することが予測されています。建物の老朽化が進むことはもちろんなんですけれども、居住者、例えば30歳、40歳で購入したとすると、70歳から80歳ですので、建物と居住者の2つの老いが進展すると。そういう状態になりますと、非常に状況が悪化しますので、それまでの段階で、中古としての競争力を保つために、維持・修繕をきちんとしていくということが重要になります。」

「ポイントは2つありまして、1つは、管理組合の意識です。購入当初では、まだ新しくて、維持・修繕の意識は低いんですけれども、必要な時に必要な修繕を行っていかないと、あとで大変なことになるという意識を高めていくということが、まず重要になります。2つ目は、資金計画ということになりまして、通常、当初の時点の計画では、修繕金の積み立て計画というのは低めに設定されることが多くて、20年、30年経って、段階的に引き上げられることが多いんですけれども、その段階ですと、例えば年金生活者、負担が多くて払えないということにもなりますので、できましたら、管理組合が合意の上で、当初からある程度、積み立てておいた方が、あとで楽になるということです。」

重要:新築分譲時は売りやすくするために修繕積立金を低く設定されている。これが後々大きく響いてくる。売った後に購入者・所有者が困ることになることを知りながら、このような姿勢で販売する分譲業者のモラルが低いことが問題である。

この他に、限界マンションへの予兆として、次のような問題が噴出してきます。

・理事長など管理組合の運営に携わる人が減少する

・管理費や修繕積立金の滞納が増加する(戸数、金額とも)、修繕金不足でメンテナンスなどができず老朽化が進む

・マンション住民間での格差や世代間の価値観や意識の違いなどからコミュニティが崩れる

・空き住戸が増えることにより活気がなくなる

・相続の発生などにより所有者が分からなくなる

・賃貸住戸の増加(所有者が賃貸に出す)により住民のモラルが低下する(民泊はさらに大変)

このような事態が複合的に絡み、限界マンションが増加することでしょう。単純にマンションがダメということではありませんが、限界マンションとなってしまうときまで所有していると大変な苦労と負担を背負うことになります。

先のような予兆が出始めたら、早めに売却して次の住まいへと移り変わることをお勧めします。そのためにも、売りやすいマンションにしておくことが大切になります。

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家は消費財・必要経費として考える

年々変わる政権のスローガン、1億総活躍の去年は「保育園落ちた、日本死ね」で待機児童問題が注目され、今年は働き方改革へとなって「プレミアムフライデー」が爆死するなか、共働き世帯が専業主婦世帯の倍近くなった状況が社会へ大きく影響しています。

子どもを育てながら働く女性にとって、時間をいかに稼ぐか有効に使うかが、生活をするにあたっての命題となります。

子育て環境を重視する住まいや環境として、郊外の戸建てが象徴的でしたが、現在の状況から、生活そのものが成り立たなくなってきつつあり、いかに勤務先を近づけるかということが住まいを選ぶ際の重要なことになります。

この結果、郊外の戸建てよりも都心部のマンション、狭くてもいいから古くてもいいからとにかく便利な場所、庭の手入れなど手間がかかる戸建てよりも、管理費等を支払っても管理会社が面倒をみてくれるマンションが好まれるようになりました。

郊外の住宅地、戸建てには、昭和の高度成長期に団塊世代の方が多く暮らしています。70歳前後の年代として、まだまだ元気で暮らしている方が多数を占めます。

それでも、年々、広すぎる(子供部屋は倉庫に)、古くなってきた(断熱性能が悪いため暑くて寒い)、階段を利用するのがつらい、庭の手入れは大変(夏の炎天下は生死にかかわる)などなど、暮らしていくのに不自由が生じて、住み替えていく人も多い。

さらに、相続(亡くなる)となっても子供世代は実家を利用することがなく、親世代が子供と同居して二世帯同居もしくは近隣居住となっても、子供が郊外の実家へ来るのではなく親が子供に近づく傾向から、手放すこととなることが増えている。

若い世代は郊外の戸建てを敬遠するため需要は減少、郊外の戸建ては売却が増加という需給関係となり、郊外の戸建ては価格が下落傾向になってしまっている。

高度成長期からバブル期頃までは、人口の自然増に加え、地方から都心部へ人口流入が進むなか、住宅・宅地がまだまだ足らなかったことから、当然のことのように不動産価格は上昇しました。

しかし、現在は、人口の自然減、郊外からの人口流出、新しい世代の人口流入減少という状況のなか、今までの住宅ストックは過剰となり(空き家増加)、さらに、マンション戸建てと新規供給が止まらない。過去の歴史や原理原則から考えて不動産価格が下落するのは自然なことです。

衣食住と言われるように、住宅は生きていくうえで必須の項目になりますが、このような状況を踏まえると、このくくりで言われるように生きていくうえでの消費・必要経費として考えていく必要があります。

不動産という場合は金融と同じように資産・負債の捉え方もあるのかもしれませんが、住宅とした場合は消費として考えていく方が間違いがない。考え方はクルマと同じでいいと思います。住宅もクルマの所有すれば、維持費用がけっこう重たいのも共通しています。

クルマを所有している方が有利なら購入すればいいし、所有するよりもレンタカーなどの都度利用の方が有利なら無理して購入する必要もない。住まいも購入した方が有利なら購入すればいいし、賃貸の方が有利なら無理して購入しなくてもいい。

もし購入する場合、クルマは年数が経過する、走行距離が伸びるごとに価値が下がるのと同じように、住まいも年数が経過する、利用が激しくなれば価値が下がるものだと考える。(メンテナンスにより価値の落ち方が変わるのも家とクルマは似ている)

ただし、クルマと家で決定的に違うことは処分のしやすさです。クルマの場合、最悪は廃車するという最終手段がありますが、家の場合、廃止する・放棄することは現時点ではできません。(戸建てなら土地に戻すという手もあるものの、マンションの場合、所有し続けなければならない)

このことから、家を購入する場合、住み替えなどで不要になった際に簡単に処分できる売りやすい物件にしておくことが肝になります。冒頭のように、利便性重視の流れにありますから、立地が大切ということになります。

なお、結果的に、価値があまり落ちずに資産のような感じになるかもしれませんが、あくまでも副産物であり、当初からそこを欲張ってしまわない方が良いと思います。

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2017年07月02日

不動産営業の現場が酷いのは報酬制度が原因

「この、ハゲ〜っ!」「ち〜が〜う〜だ〜ろ〜!」「ふざけやがって!!」「豊田真由子様に向かって、お前のやってることは違うと、言うわけ?」

暴言・暴行で世間を騒がしている国会議員は船橋市の出身と聞いて、二度びっくり。口調や立場、声質などの特徴から、注目されておりますが、その言葉そのものは、一昔前(もしかしてバリバリの販売系では今も)の不動産営業の現場でよく聞くようなものです。

不動産営業の裏側では、上司が部下に対しての暴言や暴行、営業の内輪話で、今回の暴言並みの汚さ、辛辣さで言葉がやり取りされております。また、営業担当者がお客様に対しては成績至上主義のトークが展開されます。(ここも政治家ぽいです)

上司が部下に「早く決めさせろ」「あの物件をはめろ」「つぶせ」「抜いてこい(出し抜き)」「くそみたいな仕事してんじゃねーよ」「死ね」「カス」「ブタ」、そして、朝から晩までSNSで監視されるケースも多くなっているらしいです。さらに成績が悪かったり、ミスをすると、肉体的なペナルティや精神的に追い詰める仕打ちが待っています。

営業の現場委では、営業担当者がお客様に「今すぐ決めないと売れてしまう」「他のお客様が検討中」「キャンセル物件が出ました」などの煽りや、チラシなどで「このマンション限定で探している人がいる」の誘い言葉など、ほとんどが嘘(証明できないので嘘と断定されない)のような営業トークを使います。

なお、不動産そのものに関して嘘を言うと、書類や現実で嘘であることが証明されてしまうので、この点では、ネガティブな情報を「伝えない」という手法を取ります。(伝えるのは良い面のみ)

不動産営業の現場で、このようなことになるのは、契約締結の成功報酬のみという報酬体系と、会社から社員へ支給される給与が成績に連動する給与体系にあるかもしれません。

お客様から受領できる報酬(一般的には仲介手数料と呼ばれる)は、法律で、契約締結の貢献として受領できるとし、その上限額が決められています。

そのために、契約してもらわないとタダ働きとなり、商売・生活を考えたら、生きていくため(営業を継続するため)、悪魔に魂を売ってしまう人や会社が多くなってしまいます。(大手仲介業者も給与・成績・業績という面で例外ではありません)

また、報酬の上限が決まっていることから、売り手・買い手の両者から手数料を受領する(金額が倍、これを両手と呼ぶ)ように営業をします。これが悪名高き「物件を干す」「情報を囲い込む(隠す)」という手法です。(詳細は http://diamond.jp/articles/-/69998 )

冒頭の政治家による暴言は人の要素が大きいのかもしれませんが、不動産営業の現場では、仕事を抜きにすれば人として問題ない方がほとんどです。不動産売買(仲介)そのものの仕組みと会社の利益のみ追及する企業風土にこそ、根本的な問題点があると思われます。

補足:無資格・未経験・知識なしでも不動産を取り扱うことができます。運転手という仕事を無免許・未経験でもできるのと同じという仕組みにも大きな問題があります。(これも法律で決められている)

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