2017年03月30日

さまざまな査定評価方法の使い方

不動産の売却査定を実施する際、複数の評価方法を組み合わせて行われます。

「積算価格(原価計算法)」は、市場などの外部要因は考えずに、その物件を改めて作るために必要な費用を積み重ねて計算された金額から、経過した年数などの割引を行い算出された価格です。いわゆる絶対的評価、主観によるものです。これは主に建物の評価で利用されます。

近年、金融緩和による円安、東日本大震災の復興や東京五輪などの建設土木需要、人口減少による人手不足などで、建築コストが上昇しており、積算価格も上昇しております。これが、最近の新築マンション価格高騰に繋がっております。

「比準価格(取引事例比較法)」は、周辺の取引事例などの外部要因から評価される価格です。比較対象となる物件や公示地価などの公的データなどと対象物件を比較し評価を加減する方法で算出されます。いわゆる相対的評価、客観によるものです。これは主に土地とマンションの評価で利用されます。

不動産業者がいう相場はこれにあたり、従来より査定の中心はこの方法です。ここは過去の経験値、現場の相場観、消費者や周辺機関(主に銀行)などから得られる肌感覚の要素が強くなります。

ドラマで「刑事の勘」と言われ信憑性が話題になりますが、ここでは「不動産の勘」ということになります。職人さんがいう手先の感覚とも近い。このため、担当者により目利きの良し悪しが違い、人によって信憑性も変わります。

数字で表しづらく、マニュアルなどの整備がしづらいこと、お客様への資料作りが難しいことから、行政や業界では表には出しませんが、やはり、この現場感覚、職人技がとても重要になります。

特に、数字で判断しやすい投資物件とは違い、実需(自宅用)の場合、お金ではない部分も購入の要素として強く大きいため、この感覚を無視すると、なかなか売れない、もしくは逆に、安く売ってしまった、ということになります。

このお金では表せない部分の評価・価格を「限定価格」と言います。いわゆるブランド、もしくは、個別要素の特例です。

有名なところで、古く(?)は「田園調布」、今(?)は「吉祥寺」など、理屈ではなく「ここに住みたい」、または「海沿いの高層マンション(高層階)」、「絶対新築!」、「実家の近く」など、その人の好みや個別な事情なども当てはまります。

この限定価格を相場として取引事例の対象にしてしまうと、査定金額が実際の価格と大きく乖離してしまうことにもなり注意が必要です。この場合、複数の事例、複数の会社に査定を依頼すると、限定価格が紛れてきても選別ができるようになります。

ここまでの評価は、主に実需(自宅)としての査定に使われる評価方法でしたが、投資用不動産の査定で利用されるのが「収益価格(収益還元法)」です。

これは、その不動産が稼ぐ力(収益)から逆算して計算された価格です。賃料10万円を稼げる不動産であれば、期待利回りを10パーセントとすれば、収益価格は1,200万円(年120万円÷10パーセント)になります。

家賃は賃貸市場から算出されることから、計算手法を変えた比準価格とも言えます。売買からの比準価格、賃貸からの比準価格の両方を算出してみますと、割高、割安などの判定にも使えます。また、想定家賃が念頭にあれば、住宅ローンを借りるリスクの強弱を判定することもできます。

これらを受験に例えれば、積算価格はテストの点数、比準価格は偏差値、限定価格はスポーツなどの特殊能力となり、収益価格は入学後に必要となる学力という感じでしょうか。

いくら点数が高くても、周りの人がさらに高ければ合格できない、合格した人の成績が低くてももしかしたら推薦入学(特殊能力による加点で学力は参考外)かもしれない、また、いくら点数が高く、周りの人よりも成績がよくても、学校が求める学力に達していなければ合格できない。

これと同じように、積算価格が高くても、周りがさらに安ければ売れない、「あの家(土地・マンション)がいくらで売れたからうちなら」と言っても特殊な事情があったのかもしれないので固執し過ぎると売れない、購入者側が見た価格(賃料)と乖離していれば売れない、ということになります。

このようなことにならないためには、全ての価格(評価)を客観的に見て、プロの助言を受けながら、販売戦略を構築されることをお勧めします。より高く売りたいという心情、自身の所有する不動産への思いは理解できますが、あくまでも購入側の心理が重要になります。

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posted by preseek_shibata at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 不動産コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする