2014年10月05日

売りやすい不動産・出口戦略

人口減少、家余りの時代に突入し、多様な物件の潜在的な在庫が増加してきました。購入しやすい価格になってきた反面、売るときにライバルが多いともなります。生活スタイルも多様化し、価格も手ごろで在庫も多くなったことから、「一度買ったら死ぬまで」から「生活スタイルに合わせて住み替え」という時代に入りそうです。

このような不動産市場や住宅環境の将来を考えた場合、購入するときから、売ること貸すことを考えながら判断しなければなりません。特に単身者の場合は、いや〜結婚はないからと考えて購入しても、良いご縁を授かり結婚することになった、ということもあります。このとき、売りやすい、貸しやすい不動産を選んでおくと、負担も少なく、スムーズに住み替えが進みます。

「売りやすい」、「貸しやすい」を突き詰めれば、どちらも「住みたい」と思ってもらえるかどうか、「住みたくない」と思われないかどうかに行き着きます。

自分がとても気に入っているとか、自分にとっては支障ないとかよりも、他人がどう思うかが肝となります。これは価格も同じで、住みたいと思ってもらえれば好条件で売却(賃貸)ができ、住みたくないと思われてしまうと安くても売れない(貸せない)ということになります。

一戸建て、マンションともに、不動産の場合、やはり立地条件が重要となってきます。立地面(利便性)には交通利便性と生活利便性の二つの側面があります。その中でも交通利便性が特に重要となってくる。

例えば(実際にある具体例に基づく)、築年数・広さ・所在する階も同じようなマンション、三路線が乗り入れるターミナル駅とその一つ隣の住宅地駅で、駅からの距離も同じにもかかわらず、価格は3,500万円と2,000万円と2倍弱の開きがある。当然、新築されたときの価格にも差はあっただろうが、建物部分は建築費用の原価を積算せざる負えない部分もあり、ここまでの差は開いていないはず。

どちらのマンションも売れないというものではないが、好条件で売れるということは住宅ローンの残債などを考慮すると売りやすいということになり、価格が下落しているということは残債金額などとの兼ね合いで売ることができないということまでありえる。

収入などの状況も考慮し、そもそもの購入金額を下げ身軽になっておくという選択もある。3,000万円の購入だとローンが必要だが、1,500万円なら現金(少額のローン)で済む、など。

価格面は別としても交通の利便性が高いことは、長時間労働が強いられ、外出が多くなるもクルマを所持しない生活スタイルから求められやすい。求める人が多いということは、売りやすい貸しやすいにつながる。また、交通利便性が高いことは、人を集め、施設を集めることに繋がり、生活利便性も高くなりやすい。

最寄り駅がどこという駅ごとの特性や力からの選定(マクロ)に加え、駅からの距離、周辺環境、地勢・地盤などの選定(ミクロ)も大事になる。ターミナル駅からバス便よりも隣駅から徒歩圏の方が利便性が高い、生活としてはしやすいということもある。

立地の次に大きな要素となるのが、ここの住宅(建物)についてになります。

中古住宅(戸建て、マンション)では築年数が大きな要素を占めます。ただし、新しくて安いなら当然ですが、新しければ高く、古ければ安くなるので、築年数だけで売りやすさが決まるものではありません。立地が良ければ古くても売れますし、戸建てなら土地という形で売ることができます。

価格面で見れば、建物分の評価(価格)は「率」で落ちるため、新しい建物ほど計算の基になる建物金額が大きいため、減少する金額も大きくなります。値下がり金額を小さくすることとだけ考えれば、築年数が経過しているほどいいとなります。現実に居住することから設備や住み心地などもあるため、お金だけで判断はできないと思いますが。

それよりも大事なことは、建物がどのように管理されているか、維持補修がされてきたかです。同じ築年数の建物でも、適切に管理されていれば評価されますし、管理が甘く不安を感じさせてしまうと、価格面の問題ではなく購入そのものの対象から外されてしまいます。

マンションの場合、管理会社の対応に問題がないか、住民モラルに問題がないか、ゴミ集積所(とその周辺やエントランス)を見ると分かります。きちんと掃除が行き届いているか、ゴミの出し方に問題がないか、このような裏の部分をみる。人もチャンスのとき(表)よりもピンチのとき(裏)を見たほうが本性が分かるのと同じです。また、掲示板を見ると運営や住民の暮らし方も見えてきます。※私の個人的な基準です。

最後に、建物個々の要素になります。取引としては売るにも貸すにもたった一人を見つければいいのですが、売りやすい貸しやすいを考えた場合、対象となる人が多くなる標準的な要素で柔軟に対応できる建物の方が有利となります。

広ければ大は小をかねるというのが一般的ですが、大きすぎれば総額が高くなるため売るにも買うにも動きづらくなります。ほどほどの標準的な広さで、ほどほどの価格という最大公約数的なゾーンが一番動きやすい。

近年、子供2人の4人家族というスタイルが崩れ、夫婦2人、単身者世帯も急激に増えたことにより、広さに対しての重要度は小さくなってきます。それよりも、方位、所在階、道路、駐車場などの個々の特性の重要度が高まっているように思えます。

いずれにしても、これから人口減少が加速し(千葉県や足立・葛飾などは20年後に10%減少)、新築住宅の供給が止まらないことから、家余りの状況は強くなってくる。状況が悪化しても生き残れる不動産であるか、不動産以外の部分でカバーできるかどうかを考えながら、不動産の購入をしなければならない。出口戦略、リスク準備が大切になる。

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2014年10月04日

一次相続と二次相続の違い

相続ワンストップサービス〜♪、ラジオから相続関連のCMが流れてくる。来年の相続税増税が控えており、相続ビジネスが活況となってきました。旅行や墓所墓石の新聞記事や広告、旅、健康を取り上げた番組が増加したTVなど、高齢化社会が進み、高齢者向けのビジネスが増える大きな流れで、相続税の増税がきっかけとなったようです。

今回の相続税増税では二次相続の時が要注意と言われておりますが、二次相続とはなに、一次相続と二次相続の違いなど、シンプルに説明させていただきます。

一次相続・二次相続とは、婚姻関係がある夫婦ともに存命で、最初に起こる相続を一次相続、次に起こる相続を二次相続と呼びます。男女の平均寿命から一般的な「まず夫が亡くなり、後で妻が亡くなる」ケースを想定した場合、夫が亡くなったときのことを一次相続、妻が亡くなったときのことを二次相続となります。

相続税の基礎控除額は、5,000万円(3,000万円)+1,000万円(600万円)×法定相続人数で計算されます。二次相続では単純に法定相続人数が1人減ってしまいますので、その分は確実に基礎控除額が減ります。※()内は来年以降の相続発生した場合

相続税を計算するにあたっては、法定相続人が法定相続分で取得したと仮定した金額に、それぞれの法定相続金額の税率を適用して計算し、それぞれの税額を合算して相続税の総額を算出します。さらに税率は超過累進課税(金額が多くなるほど税率が高くなる)が採用されているため、法定相続人が減り(基礎控除額が減り)、それぞれの法定相続金額が増加することにより税率も上がり、基礎控除の減少と併せて相続税額の増加に繋がります。

相続が発生した場合、配偶者がいれば配偶者の税額軽減があります。配偶者の税額軽減は、配偶者の取得した財産が法定相続分又は1億6000万円のどちらかに収まっていれば、配偶者には相続税がかからないというものです。

一次相続だけ考えれば、とりあえず配偶者に相続させておけば相続税がなくていい、となりますが、安易に行うと、配偶者軽減がない二次相続時に高額な相続税が発生することになります。

相続財産がどの程度かにもよりますが、一時相続の時から、子どもにある程度引き継がせたほうが、二次相続で支払う税金は少なくなることもあります。少なくとも、相続税の納付がありそうな場合、配偶者の税額控除へ逃げるのは得策にならないと思います。

相続はお金だけの問題ではなく、お気持ちや財産形成の経緯、夫婦の関係など、感情や事情もありますので、相続税だけで判断できるものではございません。一次相続のときに二次相続まで考えておくことは重要ですが、二次相続ばかりを考えすぎて、お気持ちをないがしろにしないことも重要です。

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2014年10月03日

相続税対策と相続対策の違い

今年も残すところ、あと三ヶ月。とうとう相続税の増税時期が迫ってきました。今年の年末、税制では消費税が再増税されるかが注目されますが、不動産市場では相続税の増税が影響を与えそうです。

今回の相続税改正で一番大きく影響するのは、基礎控除額の見直し(減額)です。今年までは、5,000万円+1,000万円×法定相続人数だったものが、来年からは3,000万円+500万円×法定相続人数となる。計算例)配偶者と子2人の場合:今年5,000万円+1,000万円×3人で基礎控除額8,000万円 → 来年以降3,000万円+600万円×3人で基礎控除額4,800万円。このモデルなら、相続財産課税総額8,000万円だと、今年なら税額ゼロだったものが、来年は3,200万円が課税対象となり支払う相続税は330万円となる。

先日、私の父が亡くなったが、自宅も所有せず、預貯金も生活費程度で、保険金も見舞金程度だったため、相続の手続きは煩雑だったものの、相続税の心配は一切する必要がなかった。日本全国、相続税の課税対象となる割合は現在で20人に1人程度で、基礎控除額が減額されても、まだまだ大多数の人は相続税の心配をする必要もないが、今回の改正で影響があるのは、元々の課税対象者と基礎控除額のボーダーライン付近(資産が5,000〜1億円)の人。

不動産を所有している人がなくなった場合、不動産の評価(相続税の課税価額)は実際に売却できるであろう価格(時価)よりも減額されるため、仮に2,000万円の預貯金・保険と3,000万円程度で売れるだろう自宅の所有であれば、自宅部分が減額されるため、相続税の対象とはならない。(上記モデルの場合)

金融資産の額は地域によって評価が変わるわけではないが、不動産(自宅)は地域により評価(価格)が大きく変わる。

弊社がある柏近辺なら、よほどの豪邸でもない限り、自宅の評価が3,000万円(時価ではなく相続税の課税価額)を超えることは少ない。自宅の評価が3,000万円を超える地域(都心や千葉県なら市川や浦安など)では、今回の相続税増税の影響を受ける。ゼロから課税対象になるのだから、インパクトは元々の課税対象者以上かもしれない。

今回の相続税増税を知って試算してみたところ、金融資産4,000万円、自宅評価4,000万円、相続税の課税対象財産が8,000万円と予測され、330万円も相続税が発生するからと、慌てて相続税対策というのは早計かもしれない。

相続税対策は、資産額を変えずに課税対象の評価額を変えることが王道であり、具体的には金融資産を不動産資産へと組み替えることとなる。金融資産4,000万円を不動産へ変換して最大80%の評価減となり課税評価が4,800万円となれば、基礎控除額以内に収まり、相続税対策としては有効だったかもしれない。

しかし、4,000万円の不動産を購入するにあたり、およそ200万円の諸経費がかかれば差し引き130万円を節約したに過ぎない。支払いが相続税ではなく仲介手数料などの不動産購入諸経費になっただけである。

それでも130万円も節約できるからとも思えるが、現在もご存命であれば(相続税対策ということはご存命のはず)、お亡くなりになるまでの生活費や医療費などの負担も考えなければならず、現金を手元に残しておく必要がある。さらに、お亡くなりになったときの葬儀費用や相続後の配偶者の生活などを考えた場合、なおさら現金の必要性が出る。

課税対象額が8,000万円程度あるケースであれば、なにかしらの対策を考えるべきであるが、相続税の減額だけに焦点を絞った対策は後々困ることも出てくるかもしれない。ご存命中からご逝去された後、さらに二次相続(配偶者が亡くなったとき)までトータルで考えてこその相続対策です。大資産家でもなければ、相続税のみの対策ではいけません。広く大きく長く深く考えることが必要です。

※文中の金額は試算値で目安です。各種特例などにより実際の相続税額は変動いたします。

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