2014年08月23日

住宅購入という投資

自宅を賃貸と所有のどちらが有利か比べた場合、”絶対”にどっちが有利と、”絶対”に決めることはできない。(禅問答のような表現で申し訳ございません)

東日本大震災の被災状況を見ても、直近の広島を中心とした土砂災害で見ても、災害のリスクは所有するリスクのひとつに数えられる。株式に投資して投資先の会社が倒産してしまったというケースに似ているでしょうか。

先日発売された「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/8月23日号)『老朽マンション「解散」時代』という特集(下記に一部抜粋)でも、今後増えてくるマンションの老朽化による問題を指摘しており、これも費用面からの所有リスクに該当する。

「建て替え・解体時期が迫っているマンションは30年の長期修繕計画の期間を過ぎ、計画に合わせて徴収してきた長期修繕積立金が底を突いているところも多い。『マンション解散』に備えて、解体費用をどう積み立てておくのか。木造戸建て以上に、マンションの空室問題は深刻な社会問題になる可能性がある」

「超高層マンション最大の難関は築30年過ぎに訪れる2回目の大規模修繕工事だという。外壁工事だけでなく、エレベーターや給排水システムなどの設備を交換する必要が出てくる可能性がある。どこの超高層マンションも実施した経験がないので、実際にいくら費用がかかるかわからない」

災害により自宅が被災したケースを見たり、こうした特集を読むと、所有よりも賃貸がいいのではとなる。賃貸であれば、所有するリスクは大家に背負ってもらうことができ、被災したり、建物に問題が出た際、容易に住み替えることができるからである。

また、人口減少(世帯数減少)と高齢化、日本経済の縮小が見えている将来と、いまだに留まることを知らない新築住宅の供給を見れば、市場動向は別としても需給関係から、住宅価値の低下も考えられる。これは価値の下落リスク。

さらに購入する際に住宅ローンを利用する場合、資産価値の減少は資産状況の悪化を招くことにもなる。※不動産価格が上昇した場合(インフレなど)、レバレッジ効果により儲けも増えるということもある。

投資がリスクとリターンのバランスでできているなら、住宅を所有する(不動産を購入する)というのは、さまざまなリスクを背負うリターンを得ることに賭ける投資であると言える。

日頃、マイホームを購入して儲かった、ということよりも、被災してなど困ってしまった、というほうがニュース的であり、リスクが表面化したことが報道されることが多い。

このようなリスクを背負い、それを耳にすることも多いのにも関わらず、なぜ、住宅購入(所有)が進んでいるのか。

一つには、住宅供給側の営業が強く、さらに政治・行政も住宅購入を力強く推進していることがある。リスクの説明責任はあるが、リスクがあっても求める需要があるのなら営業活動が行われるのは当然である。

ただし、このようなリスクがあることと住宅が余っている事情、これからの先行きなどを考えて、目先の景気や業界との癒着などから、政治や行政が推進することは疑問が残るが。

購入する側の事情で見てみると、老後の生活を考えた場合、一生賃貸住宅で暮らし続けていけるのか、暮らせても家賃負担に耐えられるのか、という不安感が生じる。

また、社会的な信用として自宅を所有しているかどうか、所有していることの満足感(なわばりという動物的本能)、自由気ままで気を使うことが少ないなど、金銭的なものとは別の心理面もある。

住宅購入が投資である限り、さまざまなリスクと得られるリターン(金銭面以外の心理面も含め)を天秤にかけて判断する必要がある。(賃貸でいることのリスクとリターンも検討要)

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2014年08月22日

地球の自然な活動を考えながら

「崖下とか傾斜地に住宅を購入(建築)するのは要注意って、そんなこと言われたら営業妨害だ、訴えてやる。」と、何年か前に不動産業者から因縁をつけられたのを思い出しました。

広島市を始め各地で、今夏は土砂災害の被害が多発しています。(被害にあわれた方、ご関係者の方にお見舞いを申し上げるとともに、警察、自衛隊、消防などの活動に敬意を表します)

今なお捜索が続き、被害が拡大している広島市の土砂災害の原因として、直接的には「集中豪雨」、間接的には「地質、地形」があげられております。

一度の被害が甚大となる地震と同様、台風、豪雨などの水災害も、不動産購入、住宅建築の際には、注意を払う必要があります。

水の災害を大別しますと、土砂災害と浸水被害に分けられます。

まず、土砂災害についてのチェック項目をお知らせいたします。

「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」に基づいて、土砂災害警戒区域(がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)、土石流、地すべりの土砂災害の恐れがある区域)・土砂災害特別警戒区域(土砂災害警戒区域の中で、建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じる恐れがある区域)が指定されます。

この他にも、急傾斜地崩壊危険箇所(傾斜度30度以上、高さ5メートル以上の急傾斜地で、1戸以上の人家に被害を及ぼすおそれのある箇所)、土石流危険渓流(土石流の発生の危険性があり、1戸以上の人家に被害を生ずる恐れがある渓流)、土石流危険区域(地形条件によって土石流の堆積や氾濫が予想される区域)などがあります。

浸水被害についてのチェック項目は、主に各行政の浸水ハザードマップにて確認することができます。

上記のような公的な関係先からの情報の他に、土砂災害、浸水被害などに関して、民間でも、各種地盤データを提供しておりますので、さまざまな情報を集め総合的に判断する必要があります。

ただし、冒頭の業者が思ったように、現実的な部分から悩ましい点もあります。

業者が営利として危険性を軽く考えるのはいかがものかと思いますが、実際に購入する立場からみて、勤務先、実家、利便性、不動産価格なども関係し、リスクとどのように共存するのかも考えることもあります。

もちろんリスク回避最優先という考え方もあるでしょうが、今回被害にあわれた方にはやむを得ない事情があった方もおられたと思います。(不動産業者の助言で未然に一人でも被害あわれる方を減らせればと)

地球が誕生して約45億年。その中で、日本列島は、できてから約6000万年と比較的新しい地形です。そのため、急峻な山間部をもった地形となり、地球の歴史から考えれば、風雨などにより削られてなだらからになろうとするのは自然のことです。

急峻な山に雨が降り、河川が土砂を運び、広く土砂を河川が拡げて平野ができる。これが地球の自然な活動です。(今回被害があった三角州はまさに)

地震や火山活動、台風などを制御しようという発想は出てこないのに、土砂災害、浸水を制御しよう、制御できるという発想になることが根本的には違うのではないか。

土砂崩れ、河川の氾濫はあって当然、人知では及ばないと割り切った上で、災害が起きてしまうと考えて判断したほうがよい。災害が起きてしまったらどうなるのかを考え、事前に対処することが必要。

住まい探しにおいては、公的なデータなどの情報以上に、広く大きく本質的な部分で考えながら現場の地形を見ると分かることも多い。

学校の勉強なんて社会に出て役に立たない、などと言われることも多いですが、今回の件では、地理、歴史、地学などは確実に役立つはず。自分の子供にさえできていませんが、勉強の中で、このようなことまで突っ込んで教えることができれば。

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2014年08月06日

活況な相続対策ビジネス

2015年から増税される相続税。適切な表現は相続税の改正だが、増税と呼ばれる理由は「基礎控除額の減額により対象者の圧倒的増加」によるものである。

消費税のように税率※の増税ではなく、相続財産から自動的に差し引ける基礎控除額を大幅に減らした結果、現行なら相続税の対象でない人も対象となり、また、控除額が減った分だけ課税される財産が増えることになる。※最高税率は引き上げられる。

基礎控除額の変更内容は、現行「5000万円+1000万円×法定相続人数」から「3000万円+600万円×法定相続人数」に引き下がるもの。

計算例として、配偶者と子供2人の場合、現行であれば基礎控除額8000万円であったものが、基礎控除4800万円となる。今まで8000万円以下なら非課税であったが、今後は4800万円を超えると相続税が課税される。

また、相続財産1億円であれば、相続税が課税される金額が、現行2000万円(1億円ー基礎控除8000万円)であったものが、今後は5200万円(1億円ー基礎控除4800万円)になる。

同じ税率でも、2000万円×10%=200万円、5200万円×10%=520万円と倍以上になり、さらに、もっと遺産がある方で税率が高ければ相続税額も増えることになる。

上記の例のように、配偶者がいる一次相続であれば配偶者の特例などで当面の相続税は避けられるが、配偶者がいない二次相続の場合、特例がないため、今回の増税(改正)がまともに影響してくる。

この相続税増税に伴い、その対策(相続ビジネス)が活況となっている。

昔からの王道が、現金部分を不動産に変換して相続財産の評価額を減少させるもの。現金の場合、そのままの評価額だが、不動産は評価方法により実際の金額(時価)よりも評価が下がる。現金から不動産に変えるだけで評価が下がり、相続税の対策となる。

この方法が時代の移り変わりにより、少し様変わりした。タワーマンションが効果的であると言われているのがそれである。

マンションの場合、部屋の面積により固定資産税評価額(相続時の評価方法に採用される金額)が決まってくるが、タワーマンションの場合、高層階になると時価は高いため、その差額が相続対策に効果的となる。(さらにマンションは土地評価が小さい)

また、もう一つの方法が借入金を増やす方法である。プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた正味資産額が相続税の対象となるため、借金が増えると正味資産が減少する。

ただし、借入金をそのまま現金としておけば、差し引きゼロとなるため、手元に入った現金で先に紹介した不動産への変換を行う。これが、相続対策の賃貸事業(アパート建築など)である。

どちらも不動産の取得であるから、それなりの注意点もある。

不動産取得の場合、1.購入・売却などの諸費用が必要、2.財産を分けづらい(共有は争いの基になりやすい)、3.換金しづらい、など。

賃貸経営は、空き家増加(人口減少)の状況からの空室リスク、賃貸経営の収支(損すれば単純な資産減少、儲かる場合はさらなる相続対策)など。

補足として、この他の相続税改正の内容は、教育資金の非課税制度(現役世代への資金シフト)、小規模宅地特例の拡充(一般の人への配慮)などがある。

相続対策ビジネスが、これからさらに花盛りとなるだろうが、安易に飛びつかず、大きな視点、長期的な視点、本質を見極めることが肝要です。

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2014年08月05日

不動産価格指数から見える社会の変遷と資産価値の行方

不動産価格指数(住宅)、国土交通省が2012年8月から公表している不動産価格の動向を示すべく指数化した統計データで、国際的に共通の指針に基づいて不動産価格の動向を迅速、的確に把握・公表すべきという勧告を受けて作成・公表されるもの。

地価公示、基準地価など、地価を基に価格の変動状況を調べる手段はあるが、戸建て・マンションの種別毎に把握することができる。公示地価等が各地点のミクロに対し、不動産価格指数はマクロ的な要素を持つ。

7月30日、国土交通省より、2014年4月の不動産価格指数(住宅)を発表された。

不動産価格指数は08年度を100として時系列に数値が出され、今年4月は89.9ということは、2008年からの6年間で約10%不動産価格が下落したことを示す。

ただし、すべての不動産で同じ状況ではなく、更地・建物付き土地は85.3(約15%下落)に対し、マンションは114.1(約15%上昇)と、種別で対照的な結果となっている。

これは、この6年間で、一戸建て(住環境)よりもマンション(利便性)を重視する傾向が強まっているもの。

また、東京都の不動産価格指数は、住宅総合が101.0、更地・建物付き土地が97.0、マンションが112.0と、不動産価格は下がってなく、土地(戸建て)がわずかにさがるも、マンション志向が下支えしている。

東京都も含めた南関東圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の不動産価格指数は、住宅総合が96.4、更地・建物付き土地が91.9、マンションが111.0となっている。

東京都以外の南関東圏(南関東圏から東京都の傾向を除く)を推測してみると、更地・建物付き土地は数値以上に下がっており、マンションはどの県でも上昇傾向にある。

子供の教育、休日の過ごし方、働き方、通信機器の普及、文化の多様化など、望む望まないと、24時間にさまざまな活動が入ってきており、時間の有効活用をより求めるように社会が変わってきている。

昭和の時代でもあったかどうか分からないが(昭和期に働いた経験がないので推測)、9時-17時という勤務体系で、19時頃には家でナイターを観ながら夕食と晩酌、というような時代であれば、多少通勤時間が長くても郊外の戸建てでもよかったのかもしれない。

しかし、平成も20年を過ぎ、社会が変わって、求められる住まいも変わってきた。この傾向が、不動産価格指数から読み取ることができる。

この指数データと社会の変遷から、不動産に関しての考え方も昭和用から平成用に変換しなければならない。昭和期は、資産といえば土地、戸建ては土地が残るけどマンションは残らないから資産性は疑問という考え方が自然だった。

平成(特に近年)となって、住宅余りの時代、土地そのもの(広さ)よりも土地が持つ利便性(利用価値)を資産として考えるようにしなければならない。わずかの敷地権しかなくても利便性が高いマンションの方が価値が上回る時代となった。

これからの住まい探しでは、都心、都心に近い、人気の沿線、地域の中心駅、駅から近い、など、利便性と街のポテンシャルを重視することが大事なポイントになる。

なお、自宅は資産性だけでは語れない部分もあり、自分の志向と合うなら、一生暮らすつもりで郊外の一戸建てを選ぶことが間違えではない。(購入前に検証して配慮しておく必要もある)

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2014年08月04日

空き家対策に税制のみでは不足

ここ数日「空き家」に関する報道を目にし耳にすることが増えた。これは、先月末に総務省から発表されたデータ(住宅・土地統計調査)に注目が集まっているからだ。

発表されたデータは、1.国内の住宅総数に占める空き家の割合が2013年10月時点で過去最高の13.5%、2.戸数も過去最多の820万戸に上った、というもの。

報道では、人口減少の地方では既存住宅が活用されず、さらに、空き家を取り壊すと税負担が重くなる制度も空き家が増える原因としている。

都心と地方の格差による地方の人口減少が空き家の増加に拍車をかけていることはその通りかと思うが、固定資産税等の増加を懸念して取り壊すことを躊躇うというのは、ないとは言えないが少数派と感じる。

行政側では、空き家対策として、固定資産税等の軽減措置を見直し、2015年度(来年!)から実現させる方針だが、これで空き家が活用されたり、取り壊しが加速するとは思えず(多少の効果はあるだろうが)、税収増加の方便ではないか。

そんな小手先のことではなく、新築偏重の住宅政策の見直し、既存住宅の活用政策、さらに、街づくりから、少子高齢化、人口問題という根本的な部分から手をつけなければ、大きな改善は期待できない。

近年、既存住宅の活用に動きつつあるが、手かせ足かせをつけ、複雑な制度となっており、もっとシンプルにして、新築と既存をひっくり返すくらいでなければ変わらない。

そもそも、新築好きの住宅文化という根っこから変えなければならないのだから、仕掛ける行政側は大胆に行う必要がある。

もし、短期的な効果を望むのなら、独立行政法人という甘い汁の代表である都市再生機構の賃貸住宅を減らしてしまえばいい。瞬間的に住宅戸数が減るわけではないが増殖だけは抑えられる。

※低所得層の住戸は公営住宅へ移管し、高品質の住戸を民間への売却(投資物件の需要は多い)、老朽化した住戸は建て替えずに土地として売却。

空き家が多いということは、潜在的な住宅供給ストックがあるということであり、さらに、減少傾向にあるとはいえ毎年100万戸弱の新築住宅が供給されるのだから、住宅供給力が強まる、需給関係が買い手市場(価格下落)になる。

人口減少で需要は減少傾向、住宅余りと新築住宅の大量建築で供給は増加傾向が続けば、さらに下落傾向が強まるということ。

不動産価格指数(国土交通省)を見ていても、ここ数年、下落傾向が続いている。(マンションは上昇傾向、これは都心回帰で流通価格帯が高まっているため)

アベノミクスによる日銀のインフレ政策が、住宅分野では効果が現れておらず、相変わらずの資産デフレが続いている。空き家対策と同じく、一時的な政策では効果が得られない。

人手不足も最近の話題だが、単純に、人手不足が賃金の上昇へと繋がれば、所得増加による不動産価格力の上昇となって、住宅価格にも反映されるのだが、政権運営を見ていると期待薄である。

来年、相続税の増税に、固定資産税等の軽減措置縮小が加味されると、供給がさらに増加し、価格は下落傾向に拍車がかかるかもしれない。

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