2017年10月16日

耐震診断から耐震補強工事の流れ

耐震不足、旧基準建物の16%「6強以上」倒壊の恐れ(朝日新聞20171015)より http://www.asahi.com/articles/ASKBG5FTXKBGUTIL01T.html

「1981年以前の旧耐震基準で建てられたホテルや病院、小中学校などの建物のうち、一定規模以上の約8700棟の耐震性を診断したところ、約16%が震度6強〜7の地震で倒壊や崩壊の恐れがあることがわかった。国土交通省は改修などの対応を求めており、施設側は対応に追われている。」

この記事は公共施設の調査となっております。住宅の場合、旧耐震住宅で震度6弱で10%、震度6強で50%超、震度7で90%超の建物が倒壊すると予想されます。千葉県北西部の場合、首都直下型地震で震度6を超える予想されることから、旧耐震建物について対策が必要です。

対策の第一歩は耐震診断です。一般的な診断は、壁の量(筋交い、壁の割合)、壁のバランス(建物の形、壁の配置)、劣化度、地盤や基礎を対象とします。(実地の感覚では屋根も重要視)

1)壁の量:一般的に壁の量が多ければ多いほど地震に強くなります。

2)壁のバランス:建物の形と壁の配置も耐震性に大きく関係してきます。熊本大震災では間取り(壁の配置や建物の形)が間崩れしていると倒壊率が高いというデータも出ました。

3)劣化度:建物の構造耐力上重要な部分が劣化していないか状態を確認します。木材の腐朽、白蟻被害、含水率、現在の傾きや床鳴りなどが耐震性に影響を及ぼします。

4)地盤基礎:地盤は注意事項項目で総合的に評価します。基礎は鉄筋の有無、基礎の形状や接合部、現在の状態を確認します。

これらを評価し計算して評点を出し、倒壊する可能性が4段階に分類されます。

耐震診断の結果を受け、懸念される場合、耐震補強工事を実施します。

主な耐震補強工事は、地盤の改善、基礎の補修、壁の補強(筋交い、耐震用構造合板)、土台・柱・接合部の改善、屋根の軽量化などになります。

ただし、相手が天災であり、絶対に大丈夫と言い切ることはできません。国の方針(本音)では、旧耐震建物を耐震化するのも費用面や有効性から、旧耐震もしくは耐震基準に満たない建物は建替えをしてもらいたいと感じられます。

そうは言っても、新築するのは現実的ではないという場合、耐震補強工事を依頼することになりますが、リフォームのトラブルも増えていることから依頼する会社を見極めなければなりません。

注意が必要な会社の特徴を列記します。

早期契約を迫ってくる、とりあえず契約をと圧迫してくる、約束なしに訪問してくる、建築士が在籍していない、メインの業務が建築ではない、所在地が遠方、飛び込みで訪問してきた、書面を残さない、費用の詳細がない、などでしょうか。

人災にも気をつける必要があります。

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2017年10月15日

かなり重要な空き家問題だが、政治屋は無関心

少子高齢化に伴う人口減少、世帯数の減少という大きな社会問題がますます深刻化していくなか、空き家・空き地の対策が課題となっているが、選挙でこの問題が取り上げられることはない。

現在820万戸を超える空き家が、今後、2150万戸に増加する試算がある。(平成25年住宅・土地統計調査)

空き家そのものが悪いわけではないが、空き家は管理不全であるケースも多く、災害時の被害拡大、犯罪の誘発、ゴミの投棄、衛生面の悪化、景観の悪化、枝葉の越境など、周辺に悪影響を及ぼしている。

空き家の数が増えることにより、地域自体のイメージ低下や衰退と繋がり、ますます空き家が増えるという悪循環に陥ります。

行政側では、インスペクション、瑕疵保険の普及などを促進し、中古住宅市場の活性化を図っているが、まだまだ浸透していない。浸透しない要因として、取引に携わる不動産業者の知識や経験不足も大きいが、根本的には、根深く染み付いた文化的な部分もある。

そして、勘違いしてはいけないのは、不動産市場の整備は、とても大切で必須なことであるが、これが整備されば、中古住宅市場が一気に活性化し、問題が解決すると思ったら大間違いであること。

人口が急激に増えることは、少子高齢化を期待できない以上、是非は別として移民政策などの日本そのものを根幹から変えるしかないが、現実的ではないことから、不動産や住宅の需要が増やすことは難しい。

毎年、何十万戸と住宅が新築され、いくらか解体される建物があるものの、住宅ストックが溜まり続ける状況はこれからも続く。

需要が増えない、供給(ストックという潜在含む)は増え続ける、この部分から考えなければ、空き家・空き地の増加が止まることはない。

政治が、住宅の数をコントロールすることにより、不動産や住宅は適切な評価を得られることができて、家計の負担軽減、資産増加から、大きくは老後の生活安定、国や自治体からみれば年金や生活保護の社会保障費の削減までつなげることができる。

おそらく、頭がいいエリート行政側は気づいているが、仕事をしているというアピール、利権や権限を拡大したい省益などから、小手先の対策ばかりに終始し、根本的な解決には取り組んでいない。

擁護すれば、それが行政の仕事であり、本来は、根本的な舵取りは政治の役目であるが、自分の政治生命や利益しか考えられない政治家しかいない現状では、舵取りを期待することはできず、根本的な解決がされることはない。

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2017年10月08日

トラブルの発生を予見する力量

不動産の売買を行うに際して、トラブルの発生を予見して未然に防ぐことが、宅地建物取引業者(不動産会社)の重要な役割になります。

書籍などで一通りの事例が紹介されておりますが、予見する能力は経験値に比例することが多い。

これは、教科書だけでは収まらないこと、不動産はすべて固有の要素を備えていること、人が絡むことで感情が入ることなど、いろいろなケースがあり、直観も含めた能力となるため、経験値が大きく影響します。

土地に関してのトラブル、リスクのほとんどは境界に関することです。

境界が確認できない、元々測量されておらず境界標がない、境界線に設置されているブロック塀やフェンスが傷んでいる、歪んでいる、適法ではない、樹木の枝葉や根が越境している、建物が越境している、道路の幅員が未確定などの事案があり、そこに歴史や人間関係が入り込むため複雑な状況になります。

土地の隣接地所有者にとっては、売買は他人事のため、非協力的であったり、強い立場になることから、境界に関することは慎重に行う必要がある。このため、売買契約の締結となる前、販売中か販売する前に境界確認(測量)は実施しておきたい。

この他に、土地に関してのトラブルで多いのは、地中に関することで、代表的には埋設物、レアケースで土壌汚染があります。埋設物があれば撤去、汚染であれば除去を行います。これはヒアリングなどで可能性を予見することはできますが、実際には売買後に発覚することが多くなります。

また、対象の土地を含めた広い地域として、法規制やライフライン、災害危険に対しての情報提供を怠ったり抜けたりするとトラブルに発生します。基本的な調査は業者の役目ですが、日常で取引をしていない遠方の業者の場合、抜けや漏れが起こる確率が高まるため注意が必要です。

建物に関しては、構造的な主要部分と細部の設備部分に分かれます。主要部分では、雨漏り、白蟻被害、建物の歪み、構造部の腐食など、設備部分では機能、不具合、故障などとなります。

これらの点について、まず、現状を正確に認識する必要があります。ここを怠りますと、取引中から引渡し後にトラブルに発展して、余計な手間や費用が発生することとなります。

所有者、居住者の方の自己申告も大事ですが、建物点検のプロにチェックしていただき、指摘事項があれば、修繕するか、もしくは、それを買主側へ伝えることで、トラブルを予防することできます。

また、瑕疵保険、設備保証などを依頼することにより、トラブルとなった際、検査会社や不動産業者、保険会社の負担と手間で対処が可能となり、売主として非常に助かる結果となります。

不動産業者であれば、どこでもトラブルを防いでくれるであろう、大手なら大丈夫、というのは楽観的です。

売却を依頼する際、業者や担当者の力量や経験値、トラブルの予防と発生した際の対策をどのように行うのかなどを、しっかりと確認して選定していただくことをお勧めします。

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2017年10月07日

地価崩壊、これからの不動産に関わる社会問題

週刊東洋経済(2017.10.14)特集「生産緑地、相続激増、人口減少・・・地価崩壊が来る(http://toyokeizai.net/articles/-/192086)」をご紹介させていただきます。

ポイントは、土地や建物を購入する需要が減少する、供給が増加する、という需給関係により、下落傾向へと進むというものです。そのような状況が見込まれるなか、不動産戦略をどのように考えればいいのか、この特集記事が教えてくれます。

1)郊外から始まる没落カウントダウン 2020年代は「地価崩壊時代」へ

人口減少が進む中、空き家問題が年々深刻になっている。さらに、2022年、生産緑地が宅地化されて市場に大量に出回ることが予想され、不動産価格の下落は避けられない。さらに2025年、団塊世代が後期高齢者に入り、相続事案が増加し、相続不動産の売却が増加する。

街の衰退に危機感を抱く自治体は立地適正化計画の策定を進めている。この計画により、街の機能が継続される地域と後回しにされる地域に区分され、立地条件が悪い地域の不動産は価値が落ち(売れない)、お荷物となることで、所有者が不明の土地や建物となって、これが社会問題を深く大きくさせることになる。

土地の「2022年問題」は起こるのか

生産緑地指定から30年経過すると、市区町村に買い取りの申請ができ、その最初の年が2022年になる。市区町村は財政的な問題から買い取りが申請されても多くは買い取らず、買い取られなかった土地は市場に出回ることになる。

この問題に対して、この秋の臨時国会で対策法案の審議が予定されていたが、解散のためご破算になったため、より現実味を帯びてきた。

2)疲弊する街で土地が捨てられる 私有地の2割はすぐに持ち主がわからず

崩れかけた危険な空き家があるのに所有者がわからず、自治体も指導ができない、こうした事例が全国で起きている。所有者が突き止められない最大の要因は、相続人が登記がなされないこと。売れないこと、価値が低いため、相続人に負担が多く、実入りがないために相続登記が行われない。

土地や戸建てだけでなく、マンションでも同様の問題が発生している。所有者が不明の住戸が増えれば、日常的な維持管理や修繕に支障もきたし、さらに、建替えなどの必要な決議が行えずに、駆逐したマンションが街中に増えることとなる。

3)人口縮小時代の備え方、相続 相続土地急増の大衝撃

土地や建物が、相続から売却へと進むことが予想されるなか、相続と不動産に関する5つの鉄則が紹介されています。使わない土地建物は売却、売却は地元の会社へ依頼、売れない土地は活用もムリ、お金がないのに活用はしない、生前に処分する。

4)過去の開催地が立証 不動産に五輪効果なし

オリンピックのようなビッグイベントがあれば経済効果で不動産価格が上昇する、というのは業者の思惑(営業)であって、閉会後も継続的に人口や所得が増えるという構造面が変わらない限り、不動産市場が成長することはない。(投資的には開催地決定までだった)

5)10年後を見据えた失敗しない土地(立地)選び

マンションは駅徒歩7分まで、ハザードマップで危険な地域は外す、立地適正化計画の居住誘導区域にする、子育て支援などのサービスや独自の経営戦略を持つ自治体にする。

概要を書くだけでも大変なくらいのボリュームがあり、現在の不動産(住宅)にまつわる問題をすべて網羅しているのではないかと思います。

これから家を買う方、現在所有している方、売却を検討している方、相続が予想される方、皆様に有益な特集記事ですので、ぜひ一度、お手に取ってみてください。

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負動産、死有地、ゴーストタウンから逃れるために

不動産を負動産、私有地を死有地、と、良いか悪いかは別として、良い得て妙な言葉が定着してきました。

現在、朝日新聞で「負動産」をシリーズで特集しており、本日の週刊現代は「死有地」の特集記事が掲載されておりました。

激変2028年のニッポン第三回「死有地」が日本列島を覆い尽くす。所有者不明の空き家や山林が急増中。すでに国土の2割が放置されたままに。

人口減少により表面化した空き家問題だが、その根は想像よりもはるかに深い。誰の土地かわからないから、相続人も行政も手を付けることができない、まさに「死んだ土地」が街にあふれていく。

このような書き出しで記事が始まりました。概要は次の通りです。

所有者が亡くなったとき、相続人が相続登記を行うが、これが義務でないため、登記簿上の名義が故人のまま、ということがある。(現場の実感では、かなり多い)

さらに、相続人が亡くなると代襲相続が行われ、相続人の数がどんどん増えていき、資産管理の収拾がつかなくなった結果、塩漬けになった不動産が大量に出現してしまう。そしていま、このような「死有地」が全国的に急増している。死有地の総面積は九州全土を上回る広さ。

これは、地方の過疎化に苦しむ地域だけでなく、都市部でも同様である。街中で所有者がわからず、道路整備がままならない場所が増え、これが災害時には緊急車両の進行を妨げ被害を拡大したり、復興時の街づくりに支障をきたすことになる。

今後、さらなる問題を引き起こすと懸念されているのがマンション。築数十年も経てば老朽化し、修繕や建て替えが必要となってくるが、所有者が不明の住戸があれば、合意を取ることができないばかりか、なにもできずにゴースト化することさえあり得る。

このような死有地や管理・修繕が行き届いていないマンションなどは資産価値としてタダ同然、維持費や税金がかかることを考えれば負債でしかない。このため、相続登記を行うことがためらわれ、悪循環に陥る。

所有者不明の土地やマンションが急増したのは、やはり人口減少にともなって全国的に地価が下落し続けることにある。人が減れば産業も衰退し、街の魅力が減少して、さらに人が出ていき減少するという負のスパイラルが続く。

自治体では、生活に必須なインフラの維持管理修繕が必要だが、所有者が不明な土地では実施することができず、さらに、人が住まない(少ない)エリアでは整備が行われないこともある。こうして、ゴーストタウン化が進んでいく。

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結局のところ、大きくは人口問題(少子高齢化社会への対応)、不動産・住宅市場では需給のコントロールができなかったばかりか、宅地開発や建物の新築を選挙や政治資金の兼ね合いから促進させた政治行政の無策のしっぺ返しです。

現時点でも、根本的な点に踏み込む気はさらさらないようで、このような政治行政の無策のつけが、国民、生活者へしわ寄せてくることになります。(政治は自身の保身のみですから、今回の総選挙が特徴的)

不動産から家計全般まで、自身で自己防衛していくしかありません。知りません、わかりません、めんどくさい、が、いつか自分に跳ね返ってきます。

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